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雨の鞍馬山 濡れた木の幹は漆が塗ってあるかのように 黒光りしています 土の中にいるはずの ありとあらゆる根が うごめきながら地上に現れてきました 湧き出ていた泉の水は 息をひそめるように岩陰にかくれてしまいました 耳に聞こえる音は何一つ無くなり そのかわり 耳には聞こえない何かが、なにかは分からない無数の何かが おどろくほどに大きな声で叫んでいるのが胸のあたりに届きました それらが私の鼓動をどんどん早めるので 息が出来ずに困っていると 「朱色って山の濃い緑のなかで映えるね」 シミズは大きな杉の木に抱きついたまま言いました 華奢な手足が木肌にピッタリ馴染んで木の一部になったように見えます そして澄んだ口笛を吹きました 胸のどきどきがすーっとなくなって トクトクと楽しげにリズムを刻みはじめました シミズの口笛はいいね、と私が言うと 「喉の奥に笛をもってるの」 そう言って振りかえったシミズの小さな顔は たしかに天狗の形相で 素足のまま枝へ飛び乗ると 木から木へ見事なジャンプを繰り返し 山のてっぺんの大杉の上に片足で立つと 風に乗せて口笛を吹きはじめました シミズの赤いワンピースが雨雲を背にひらひらなびいています
by chigusawa
| 2009-07-24 00:00
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