|
お気に入りブログ
以前の記事
2012年 01月
2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 06月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 11月 2010年 08月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 ネームカード
ファン
|
![]() 100階はある石段の中腹に大きな図太袋が置いてある、 と思い近づいてみると 女だった。 女が、さかさまでうずくまっている。 気絶しているのか死んでいるのか、覗き込んでみると 良い夢を見てる最中のような顔をして、すーすー寝ている。 このまま、この女の寝顔を見ていたいとも感じたが、 石段の下に落ちては危ないので起こそうと思う。 しかし、 女と真逆をむいている私が起こしたとしたら、 起きた拍子にびっくりして下に転げ落ちるともかぎらない。 ここは慎重にやらねばならぬ。 どうしたものかと考えて、 私も石段にさかさまになり 一緒の方向にむかって立ち上がれば良いと思いついた。 果して さかさまになり 女の肩に手をかけて 立ち上がってみれば 世界は さかさまのまま。 もとへのもどりかたが分からず 階段を下りているつもりが 上っている。 下れば下れるほど てっぺんが近づく。 女は肩にもたれて くーくー寝息をたてている。 ![]() いちばん悲しい結末を着せた服を わざわざ仕立てて 何度も袖を通します ひとりでワルツを踊って 袖口からすこしづつ 涙を逃がしているのです ほんとうのことに 会いにいくまえに くるくるくるくる踊っています ![]() 山の向こうで 燃えているのは 誰の命だろう つぎつぎと空に昇っていく つぎつぎと生まれてくる この様子に涙が出るのはなぜだろう 「John Cage_Summer」 ![]() じぶんの沼を じっとみていたら みたことのない鳥が生まれて 勢いよく飛んでった 見えなくなるまで飛んでって あっという間に戻ってきて 顔の周りを 跳ねるように飛んでいる 好奇心が目に見えたら きっとこんな生き物だろうな 動かぬ山になりかけていたM子は 自分のなかにまだ こんなものが残っていたのかと思った うれしかった 今ならまだ動けるかもしれない ゆっくりと視線をを上にむけると なつかしい眩しさが目を刺した ![]() 前を通る度に、みとれていた湖に とうとう入ってしまった 「とうとう」と、いうわけは 前からずっと入ってみたかったこと、 しかし入水禁止区域なこと、 そのうえ、自分が泳げないからだ さらに、今日に限って湖が「おいで」と言うのだ みなもを指でなぞってみると 思ったよりずっとやわらかだったので 泳げる気がしてきた 服のまま 湖に潜りこんでみる みずのなかは、 ほのかにあたたかく とろりと体にまとわりつく 本当はもっともっと 奥まで潜りたかったが やめた 湖のなかが心地よすぎて 二度と戻れなくなりそうな気がしたので 必死にやめた みずからあがったあと、 今の出来事を 手のひらにのる程の箱にしまって、 とっておきのリボンをかけた 湖に入りたくなったら リボンを解いて 何度でも また 記憶の湖に潜る 「かき氷のシロップみたいなにおいがする樹じゃなくて、 木の根もとあたりで、ガキが、かき氷食ってるんじゃないの?」 と雪男が言うものだから、 夜中の電話を切ったあと、そのまま森へ入り、樹のある場所へむかった。 今夜は満月だから、月明かりだけで歩ける。 樹に咲く手のひらほどの白い花は、蝋燭が灯ったように、ぼおっと光っていた。 甘くみずみずしいにおいを吸い込むと、からだが浮きはじめた。 においを吐くと、からだは地面に近づいた。 おなかいっぱいにおいを吸い込み、樹の中腹まで浮き上がったところから、 月明かりに照らされた根本の一角が見えた。 ふぅぅぅぅぅぅとゆっくりにおいを吐き出して地面に戻った私は、 雪男に、いま見たことを話そうか話すまいか考えながら家路についた。 何年か前のT氏の言葉の意味が いまふいに突然 ようやく分かりました さびしく聞こえたあの言葉は、 とてつもない優しさそのものでした M子は数年前の日記帳を引っぱり出して あの日、疑問符で終わっていた日記のページに 今日の答えを書き足しました 「あなたにとって わたしはだぁれ?」 柔らかい声がミナの耳に届いた。 何かに衝突したような気持ちになった。 心臓がドクンドクンしている。 衝突したものが何なのか、確かめなければ、と思った。 ミナは声のする方を見上げて顔を探した。 「さあ、あなたにとって、わたしはだれかしら?」 皺がたくさん刻まれた、黒髪の女の人と目が合った。 小さな目が、泣いてるみたいにキラキラしている。 涙袋がふっくらしている。 黒い服を着ていて、紫色の丸いイヤリングをしている。 短い眉は柔らかそうな毛質だ。 顎の下に小さなほくろが二つある。 カギ鼻で、唇はピンク色して微笑んでいる。 ミナは、はじめてその人のかたちがよく見えて、 まるで世界で二人きりになったような気持ちになった。 目の前にいる人は、ミナの言葉を、じっと待っている。 「おねえさん」 と、ミナが答えると 「まあ!!」 そう言うと、おねえさんは、ミナをギュウと抱きしめた。 焼きたてのパンみたいな匂いがする。 「さあ、なにしてあそびましょうか」 おねえさんはミナの手をひいて、 大人たちの輪から軽やかに離れた。 家の電気がぜんぶ壊れてしまったので 蝋燭で暮らしている 揺れるひかりの薄暗がりの夜 せっかくだから なにかあそびを考える さっき古本屋でみつけた詩集を肴に 日本酒を呑む、 笑えるほどキザなあそびをすることにした 恋の詩ばかりを朗読して 暗がりの中に言葉を浮かべる 漂っている文字をつまんで 酒をのむ ゆらゆら揺れる天井を見上げると ひゃひゃひゃひゃ 笑いがとまらない 蝋燭の炎でわたしたちの影が揺れているのか それとも見えないお客が増えたのか 部屋の中にたくさんの影 笑って揺れている
|